古くはMSのビル・ゲイツもそうだった。ネットスケープのマーク・アンドリーセンもそうだ。コードを書かなくなっても,一度名を果したものは生きていける。だが,書き続けるやつもいる。半分腐っている大企業の中で,彼のコードだけは,気を吐き続けている。
ウインアンプやグヌーテラの作者であるジャスティン・フランクルが,AOLインスタントメッセンジャーの広告を取り除く「アルメイジング」というソフトをリリースしている。AOL社傘下にいながら反AOL的な活動を続けるフランクルだが,この奇妙な関係が続いている理由は,彼のプログラマーとしての才能と,タイムワーナー社との合併を前に,反感を買うようなことを避けようというAOL社の思惑である。
いやはや,強い。この強さはいったいどこから来るのかと思うほどの強さ。まったくフランクルには敬服する…m(_ _)m。現在のナップスターも含めたMP3騒ぎの第一の発火点は,彼,だったと云ってもいい。1997年の4月,彼はウインアンプ 1.0をリリースした。それは今考えれば,モザイクと同じように,重大なひとつの社会の転機となるソフトだったのかもしれない。ウインアンプがダウンロードされるほどにMP3は勢力を拡大し,よくよく考えれば,プレイリストやスキンなど,現在のMP3プレイヤーの基本は,全部そこに詰め込まれていた。その後の1年半で,ウインアンプは15,000回ダウンロードされ,その成果としてヌルソフト社が設立され,さしてAOL傘下にあっさりと入った。
だがその後の彼の活動はどうだろう。ネットスケープ社の社員たちのように,AOLの組織の中にうずもれていくこともなく,あくまでも自分のスタンスを守り,グヌーテラやMP3ストリーミングソフトのシャウトキャスト,そして今回のアルメイジングとコードを書き続けている。彼のコードは,コード自体の評価なんかよりも,その根本的な発想自体が飛び抜けている。天才と呼ぶのは簡単だが,組織の中に置くにはあまりにも危険すぎる。AOLは,危険を飲み込んでしまうことを考えていたのだが,実際は逆になっている,のかも。とりあえず,まだまだ,彼,から目を離してはいけない。(参考:彼がグヌーテラリリース時に書いた計画書)
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